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vol.37 暫定予算考(その2)

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□お役所最適化計画 VOL.37□

★Containts★

■暫定予算考(その2)


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■暫定予算考(その2)

 30日に暫定予算が成立した。
 私にとっては入省以来初めての経験である。

 この暫定予算において困ったことが起きていると聞く。
 それは、暫定措置が必要な予算の中で認められなかったものがあるということである。

 なにを暫定予算の内容とするかは次の方針によっている。

(1) 歳出においては、人件費、事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費について、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限の金額を計上する。
 なお、社会政策上等の配慮から特に措置することが適当と認められるものを除き、新規の施策に係る経費は原則として計上しない。
 また、公共事業関係費については、新規発生災害に係る直轄災害復旧事業費のほか、直轄の維持修繕費等について期間中における所要額を計上する。
(2) 歳入においては、税収及びその他収入についての暫定予算期間中の収入見込額を計上する。

 一見、当面必要なものは手当てされていそうな内容である。
 が、実際はそうではない。
 
 「また」以降の公共事業費にかかるくだりで、認められているのは新規発生災害にかかる直轄災害復旧事業費のほか、直轄の維持修繕費等 とある。したがって、国道や河川等の維持費は認められるが、新設や改修は認められていないということである。
 一見問題ないと思うかもしれない。
 しかし、新設や改修にかかる公共事業費の中には、これらの事業を実施する事務所やそこで働く職員の宿舎にかかる経費、事業実施のためのシステム経費が含まれているものがある。
 これらまで、新設や改修にかかる公共事業費であることから認められていないのである。

 といっても、1週間だけ庁舎や宿舎を明け渡すわけにもいかないし、事務システムを完全に止めることも非現実的である。したがって、契約ができるのは4月6日以降となるが、4月1日からこれらは使わざるを得ない。

 では、この期間についてはどういう経理処理になるのだろう?

 本予算が成立し契約締結が可能となるまでの間、契約上の義務はないものの、通常相手方の協力により庁舎や宿舎の使用、システムの利用等はさせてもらえるものと思われる。
 この期間については、契約予定相手方は、法律上の義務なしに他人(国)のために何かをすることとなるので、民法上の事務管理が成立する。すなわち、国のために何かをしたという事実を持って、債権が発生し必要となった経費を国に請求することが可能となる。
 契約による債権ではないのでこの請求は契約を締結しなくとも可能である。

 が、一般には予算成立後の分と合わせて、契約による債権として処理することとなるのが通例である。
 この場合、本予算による契約の時点で、事務管理による債権についても契約による債権に変更するという「更改」契約があったと考えることとなる。

 こういう処理で、私法上は相手方の協力が前提とはなるが一応問題なく処理することは可能である。
 もっとも、暫定予算が成立したにもかかわらずその中に含まれていなかったということは、国民の意思はその執行を認めないというところにあると考えざるを得ない。公法上で考えれば予算による統制を免れんがための完全な脱法行為である。したがって、もしどこかでこの点が問題にされれば、責任を問われる可能性がある。

 こういった問題が生じるのは、予算の内容の詳細をよく理解していない政治家の責任であり、それをきちんと説明していない役人の責任でもある。また、そもそも役所の生活費的なものが事業費と一緒に計上されている予算の仕組みを見直すべきなのかもしれない。
 次回同じような問題が生じないよう、適切な対処を望むものである。

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